Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band / The Beatles

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ビートルズの金字塔アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・クラブ・バンド』

 

コンセプトアルバムの代表作でロックがアート作品として認知されたアルバムです。

 

僕がこのアルバムを買ったのが1993年。発売されたのが1967年。

当時、僕の中では歴史的名盤(26年前)を購入した感覚だったのに、今(2021年)はあれからさらに28年も経過してます。

 

当時は良いのか悪いのかよく分からなかった印象があります。

始まりと終わりはコンセプチュアルだけどその間がなんともまとまりがありません。

プラス実験的なサウンドも随所に散りばめられていて、結局のところ収拾がつかないアルバムです。

 

50周年記念リミックスアルバムを期に最近、何度もリピートしてますが、未だによく分かりません。よく分からないのにヘビロテしてしまう時点で名盤確定なのかもしれません。

 

サージェント・ペパーズは今も昔も恐らく当時もビートルズの中でも奇妙な立ち位置だと思います。

コンセプチュアルな印象はアルバムジャケットによるものが大きい気がします。

そんなわけでビートルマニアではない僕が『サージェント・ペパーズ・ロンリー・クラブ・バンド』全曲解説をやってみます。

 

まず、サージェント・ペパーズは『ラバー・ソウル』『リボルバー』の後のアルバムです。

この頃からビートルズのレコーディングはポール主導で作られます。

本格的にアーティスト活動を始めて、この2作品によってかなりの手応えを感じてるはずですから、次作はさらなる傑作を生みだすんだというポールの気概が感じられます。

 

ジョンとジョージに関しては、そんなポールに対して冷めた感がなくもないですが、ジョンらしさ、ジョージらしさは随所で爆発してます。リンゴはマイペースですね。

 

1.Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band

 

サージェント・ペパーズ・ロンリー・クラブ・バンドがこれからショーを始めますよというオープニングナンバーで本作が幕開けします。

最初に聞こえるのは観客のざわめきとオーケストラのチューニングです。

僕はバンドの演奏が始まってすぐに歓声がないのに違和感を感じますが皆さんはどうでしょう。

中盤に歓声があがるのはパフォーマンスでもやってるんでしょうか。

ジョンはボーカルのみ参加ですが、存在感ありますね。

 

2.With A Little Help From My Friends

 

ジョンとポールの久々の共作でリンゴヴォーカルの曲です。ベースの味わいが最高です。

 

3.Lucy In The Sky With Diamonds

 

ジョンの息子ジュリアンが描いた「ダイヤモンドを持ってお空に浮かんでるルーシー」の絵から作られました。

ルーシーはジュリアンのクラスメイトです。

この曲はサイケデリック→頭文字のLSD→ドラッグなイメージが強いですね。

曲全体の雰囲気はジョージの功績です。ポールのベースも曲に彩りを与えてます。

 

4.Getting Better

 

Getting Better(だんだん良くなってきてるぞ)はレコーディング中によく交わされた合言葉のようです。

こうして1曲1曲を振り返ってみると、このアルバムはジョージのインド感とポールのベースが肝になってる気がします。

曲の良さとコーラスは元々このバンドの売りですが、そこに深みと味わいが増してます。

ポールはジョンの才能を引き出すのがうまいですね。

 

5.Fixing A Hole

 

ジョンはコーラスとマラカスのみ参加です。

後半のビートルズはポールとジョージ・マーティンの2人だけが中心になって作られた曲が多いです。

 

6.She's Leaving Home

 

『デイリー・ミラー』紙に掲載された「17歳のメラニー・コー失踪事件」を読んでポールが書いた曲です。

アレンジはマイク・リーンダーです。

ジョージとリンゴは不参加でジョンはコーラスのみの参加です。ジョンのコーラスはもはや神々しく聴こえます。

 

7.Being For The Benefit Of Mr. Kite! 

 

B面スタートです。古いサーカスのポスターをジョンが曲にしました。

後半のキラキラしたサウンドジョージ・マーティンの功績ですね。

 

8.Within You Without You

 

レコーディングはジョージだけが参加してます。インド全開サウンドです。

サージェント・ペパーズが奇妙なポジションなのはこの曲のせいな気がします。

ジョージはビートルズの大切な香辛料です。

 

9.When I'm Sixty-Four

 

ポール・マッカートニーの真骨頂。ジョンの皮肉が聞こえてきそうな曲です。

 

10.Lovely Rita 

 

“ジョンとポールの性格や趣味の違いがビートルズを作った”

 

ビートルズの沼にはまればはまるほど“たしかに!”しかないです。

 

11.Good Morning Good Morning

 

ジョンの実験性ソングです。

まわりのサポートが素晴らしいですね。

ジョンらしい曲なのにジョンソロにはないタイプの曲です。

ビートルズはバンドなんです。

 

12.Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) 

 

ショーも終焉に近づいて来ました。みんなありがとうの歌ですね。

 

13.A Day In The Life

 

最後はジョンとポールの共作で締めます。ジョンの曲と曲の間にポール曲をサンドするという荒業で、狂おしいサウンドが響き渡ってます。

これを偉大な曲に仕上げるジョージ・マーティンは本当に素晴らしいですね。

アルバムNo.1の曲を最後に持ってきてこれにてショーは大団円です。

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・クラブ・バンド』が永遠の金字塔なのはアルバムジャケットとこの曲の功績だと思います。

 

終わりよければすべて良し。

 

そして最後の最後に不思議なリフレインでアルバムは終わります。

後味は決して良くはありません。ジョンぽいけどポールのアイデアのようです。

 

ビートルズはどこまでも掴みどころのないバンドです。